畳縁という織物のはなし

畳の縁を彩る、細い帯状の織物。それが畳縁です。何気なく踏んでいるこの部分に、実は長い歴史が詰まっています。

身分を表した時代

畳縁が記録に登場するのは、奈良時代までさかのぼります。当時、畳は誰もが使えるものではなく、位の高い家や寺社だけに許された特別な調度品でした。畳縁も同じで、格式ある場所には特別な織物があてがわれ、一般には普通の布を裁断したものが使われていたようです。

平安時代に入ると、この使い分けはさらに細かくなります。身分によって畳の厚みや、縁の色・柄までが定められていました。茶道の世界でも、貴人が座る畳、客が座る畳、点前をする畳、それぞれに違う縁を用いる作法が残っています。こうした身分と縁の結びつきは、江戸時代の終わりまで続きました。

現在のかたちができるまで

今わたしたちが目にするような畳縁は、明治から大正にかけて生まれた「光輝縁」がもとになっていると言われています。素材も、もとは麻や綿でしたが、時代とともにポリエステルなどへと広がり、色柄のバリエーションも大きく増えました。

畳縁の柄の多くは、ジャガード織という技法で織られています。複雑な模様を糸で表現できるこの技術は、フランスで生まれ、明治6年(1873年)に日本へ伝わりました。京都・西陣の職人が海外で技術を学び、持ち帰ったのが始まりです。伝統的な和柄と、この技術が出会ったことで、畳縁は一枚の織物としての表現の幅を大きく広げていきました。

岡山・児島という土地

畳縁づくりの中心地のひとつが、岡山県倉敷市児島です。高品質の畳縁が、今もこの地で織られ続けています。

伝統を、いまの暮らしへ

かつて身分を表していた畳縁は、今では誰もが自由に手にできる素材になりました。HASHICOは、この畳縁を鞘や小物といったかたちに仕立て直し、日々の暮らしの中で身につけられるものへと変えています。

長い歴史を背負った一本の帯が、これからは、あなたの日常の一部になります。

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